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リハビリテーション学部 理学療法学科

川口先生ピックアップ

臨床の場で培った理学療法の知識・
技術をスポーツ現場に活かす

川口 浩太郎 教授(運動器理学療法学・スポーツ理学療法)
スポーツ選手に対し、理学療法士としてどのようなことをするのでしょうか。
ホッケー選手の怪我を診る川口先生

スポーツ現場で選手の応急処置やコンディショニング、治療に関わる人を「トレーナー」と呼びますが、最近では「フィジオ」と呼ぶことが多くなりました。「フィジオ」とは理学療法士(Physiotherapist)のこと。アメリカでは今でも「トレーナー」と呼ぶことが多いですね。

フィジオとしてチームに帯同する場合、選手の健康管理、外傷の応急処置、ケガをしている選手や十分に治っていない選手の処置、選手のコンディショニングの調整などを行います。国際大会などの大きな大会ではドーピングに付き添ったり、ケガをした選手とともに病院を訪れることもあります。選手が競技会や試合で最高のパフォーマンスを発揮できるようお手伝いするのがフィジオの仕事だと思います。その内容の多くは、理学療法士として臨床の場で行っていることと何ら変わりありません。しいて挙げるなら、「テーピング」という技術はスポーツ現場で非常に大切になりますし、目の前でケガをした選手に対する「応急処置」もできないといけません。また、物理療法機器も医療現場よりよく使うかもしれません。

川口教授がホッケーに関わるようになったきっかけを教えてください。

私がホッケーと関わるようになったのは、1994年に広島で開催されたアジア大会がきっかけです。大会前の遠征に帯同するフィジオがいないということで、急遽お手伝いすることになりました。その後も、何度か国際大会に帯同させていただいたり、縁あって岐阜にある大学チームのお手伝いをするようになりました。

2004年3月にはニュージーランドで開催されたオリンピック予選で日本が優勝し、史上初のオリンピック出場権を手にしました。10年以上前から知っている選手とともに、その決定的瞬間にその場にいられたことは本当に幸せなことだと思います。その後アテネオリンピックにも帯同させていただきました。

2006年のドーハ・アジア大会で日本代表女子ホッケーチームは北京オリンピックの出場権を獲得し、2007年に開催された世界でトップ6しか出られないチャンピオンズ・トロフィーという大会でも5位という成績を収めることができました。2020年東京オリンピックに向けても,選手をサポートしていきたいと思います。

川口教授はどのような心構えで、スポーツ選手を診ているのでしょうか。
ホッケー選手の怪我を診る川口先生

チームに帯同しているときに、いつもドクターがいるとは限りません。その場で、なおかつ自分で判断しないといけないこともあります。そんな経験がスポーツ選手以外の患者さんを診させていただくときに役に立ちます。
困っている選手や患者さんを目の前にすると、普段では思いつかないようなアプローチを思いついたりします。スポーツ選手に関わることが「特別なこと」のように捉えられることが多いのですが、私の中では子供さんに対して行う理学療法、年配の方に行う理学療法と何ら変わりありません。たまたま「その人がスポーツをやっている」ということです。

ただしスポーツ選手を診る場合には、そのスポーツを経験していなくても、その競技についての知識はある程度必要です。監督やコーチ、選手から教えてもらいながら、その競技に特徴的な身体の使い方やケガの種類について知識を増やしていくことが大事です。

スポーツ理学療法士をめざす方へ、アドバイスをお願いします。
ホッケー選手の怪我を診る川口先生

理学療法士をめざして入学してくる学生さんの中に「スポーツに関わりたい」という希望を持っている方はたくさんいます。しかし、日本の今の状況では「スポーツに関わること」だけで生活できる人はほんの一握りしかいません。この状況を変えていかなければならないのですが、すぐに変えられるものではありません。まず、その現状をよく理解して欲しいと思います。

ですが、スポーツに関わっていないと経験できないこともたくさんあります。先ほども述べたように、その経験が一般の臨床に必ず役立ちます。自分の知識・技術が十分でないにもかかわらず「スポーツに関わりたい」という想いだけで、慌ててスポーツの世界に飛び込み、結局上手く関われなかった人をたくさん見てきました。 選手はある意味残酷です。表現はあまりよくないのですが、いったんダメと思ったフィジオのところへは二度と近寄ってきません。スポーツの大会・競技会は多くの場合週末に行われますので、顔を出していると、当然自分の自由な時間は少なくなります。

ニュージーランドでのオリンピック予選でオリンピック出場を決めた後の集合写真。
写真左端が川口教授。

チームに帯同しているときは、朝は選手より早く起き、夜は選手の処置が終わってから監督への報告・記録のまとめなど提出し、最後に寝ることになります。時にはこんな生活を二週間以上続けることも。しかし、他では決して経験できない貴重な体験です。スポーツ選手に関わりたいという希望があるのなら、まずしっかりと臨床で経験を積むことから初めてください。その中で、スポーツに関わっている方々のお手伝いをしながら、スポーツ現場での経験を養っていくことが一番の近道だと思います。地球物理学者の竹内均先生も「夢は持ち続けていないと、決して現実のものとはならない」とおっしゃっています。

みなさんも「スポーツに関わりたい」という「夢」を持ち続け、スポーツに関わることを「現実」のものする努力を惜しまないでください。チャンスは必ずあります。ぜひとも頑張ってください。

川口浩太郎教授 プロフィール

  • 昭和61年 国立療養所東名古屋病院附属リハビリテーション学院理学療法学科卒業
  • 平成11年 広島大学大学院医学系研究科保健学専攻修了
  • 理学療法士として臨床現場を経験し、平成6年より広島大学医学部・助手、その後同学部内講師、広島大学大学院保健学研究科・講師、助教授を経て、2006年9月より学校法人兵庫医科大学大学設置準備室主幹、現在、兵庫医療大学 リハビリテーション学部理学療法学科 教授
  • 専門は運動療法、徒手的理学療法、運動生理学
  • スポーツ現場にも関わり、国体や国際大会への帯同経験も多い。アテネオリンピック日本代表女子ホッケーチーム・フィジオ