会長挨拶


 第17回日本臨床死生学会大会開催にあたり、先ずは、このたびの東日本大震災により被災されました皆様方に心よりお見舞い申し上げますと共に、一日も早いご復興を祈念申し上げます。
 本大会は初の関西開催であり、関連する多職種の専門家が集い、智恵をしぼってのプログラム企画が実現致しました。
 大会テーマは、臨床死生学の意味を問う、「生きることと死ぬことの意味するもの―生と死に境界はあるか」です。メインのシンポジウムは、1995年の阪神・淡路大震災を起点に標準化したトリアージタッグが生み出した新たな問題を提起する「トリアージ黒タッグ〜生と死のはざま〜」です。さらに、「生」と「死」を同時に直視せざるを得ない場から、「ホスピスと救急医療の現場のケアに共通性はある?」をテーマに、そして、臨床現場での「医療者が死に向き合うことについて」、今日的問題である「死産・新生児の死とグリーフケア」をシンポジウムで取り上げます。また、交流セッションは、共に暮らした夫婦が、一方が死に行く配偶者となり他方は残される遺族(配偶者)となる終末期にある夫婦へのケアを臨床実践の視点から捉え、夫婦という関係の終結をより良き終末期ケアとして如何に考えるか、考えられるかをテーマとする「夫婦として捉える終末期ケア」です。
 日本臨床死生学会は、臨床の場における死生をめぐる全人的問題をメンタルヘルスの観点から学際的かつ学術的に研究し、その実践と教育を行うことを目的として1995年に創設されました。此度、創設にかかわり、我国の重鎮でいらっしゃる日野原重明先生の、「私の死生観―死の刻印のもとに生きることの意義」と題する特別講演で幕明けします。そして、死生学における研究、グリーフケア、終末期ケアなどの一般演題が口演と示説により発表・討議を致します。御参加の皆様方と共に明日の進歩発展に向けて研鑽出来ますことを期待致しております。

                                 第17回日本臨床死生学会大会
                                   大会長 佐藤禮子
                                 (兵庫医療大学副学長・教授)