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スタッフ ピックアップ
「使える手」を目標に、ハンドセラピィを通して
患者様が社会復帰できるようお手伝いしています。
ハンドセラピィ(手の障害を専門的に扱う分野)とはどのようなことですか?
整形外科疾患に対する運動器のリハビリテーションの中で、ハンドセラピィはリウマチなどの疾患や上肢の骨折・腱・神経・関節の外傷をもつ患者様に対して「使える手」を目標にして家庭や職業復帰など社会参加を促すものです。
下記の写真の患者様は、手首の骨折後に手指の動きが悪く、他院から紹介されました。装具での治療や徒手的治療・作業活動などを行い、指の動きが回復しました。家事動作や日常生活にも障害を残さず、主婦としての役割が担えるようになった方です。ハンドセラピィは専門的な検査、治療技術を用いて機能障害の予防・回復、さらに症状の再発予防を促すため、作業療法・理学療法の枠を超えて専門的に治療を行うものです。

 

櫛辺先生
手首の骨折後、手指の動きが悪くハンドセラピィを行った患者様
<手首の骨折後、手指の動きが悪く ハンドセラピィを行った患者様。>
左:ハンドセラピィを施行前、 手指の動きが悪い状態。
右:手指の動きが改善し、主婦として 社会復帰した時の状態。

 

ハンドセラピィに関るきっかけは何ですか?
感覚検査
<感覚検査>
たくさんの感覚検査の道具を使って細かく検査を行います。
以前、勤めていました大学病院の整形外科教授から「ハンドセラピィをしないか!」と誘いを受けたのがきっかけです。ハンドセラピィという言葉さえ知らず、不安と焦りばかりでしたが医師との早朝勉強会や診察・手術見学などを行い、少しずつ知識と技術を深めていきました。 始めた当初は解剖学や医学用語など十分な基礎知識・技術もなく、毎日患者様や担当医師にもご迷惑をかけていたと思います。手の装具は何時間もかかってやっと作製し、チェックを受けるとニコニコされながら作り直しの指示、何回もやり直しました。臨床経験20年を超え、少し自信もつきました。「患者様から教えていただく」という初心を忘れず、新しい知識を取り入れ、学生や後進の指導に力を注いで行きたいと思っています。

 

ハンドセラピィに関って良かった点は何ですか?
治療活動
<治療活動>
実際に手が使えることを認識してもらえるために、銅版細工を用いて右手の把持訓練を行っている様子。
脳卒中などの他の分野で働く作業療法士と同じく、治療を受けた後の患者様の笑顔をみると心の交流が感じられ、また治療を卒業され、家庭や復職された後に作業療法室に近況報告に来てくれた時の感動は、思わず「やったぁ」って感じです。 医療制度の改革で入院・外来治療期間の短縮化が言われ、治療を受けていただいた患者様が転院され、将来どのようになったのか不明なことが多いのが現状です。ハンドセラピィでは一人の作業療法士が外傷後・手術直後の急性期から社会復帰まで一貫して関われます。また解剖などの知識が治療に即決し、自分の治療が良くも悪くも即、患者様の反応に現れる「緊張感」これはやっぱり最大の魅力的です。「治療成績を決めるのは手術が50%、セラピィが50%」という私の恩師の言葉でプレッシャーはありましたが、本当にやりがいのある魅力的な作業療法分野の1つであると思います。

 

作業療法学科を目指す学生さんへメッセージをお願いします。
現在、作業療法士の数は3万人、そのうち運動器のリハビリテーションを専門的に携わる作業療法士は5%程度と言われています。高齢社会を迎え、今後、骨折など運動器の障害を持つ方も益々増える傾向にあります。学生にはより実践的で臨床や実習を行ううえで、効果的で作業療法の武器となる、患者様に合わせて作る手の装具(スプリント)も講義したいと考えています。「患者様一人ひとりを大切にする心」を忘れず、楽しく・厳しく共に学んでいただきたいと考えています。
スプリント作成
<スプリント作成>
患者様の手に合わせて作業療法士が熱可塑性プラスチックを用いて手の装具(スプリント)を作成し、目的に応じて装着させます。
櫛辺講師
櫛辺 勇 講師のプロフィール
  • 昭和61年国立善通寺病院附属リハビリテーション学院 作業療法学科卒業
  • 平成18年放送大学教養学部卒業
  • 作業療法士として大学病院、総合病院にて臨床研究 現在兵庫医科大学設置準備室主査
  • 専門 身体障害治療学(運動器)ハンドセラピィ
  • 第10回日本ハンドセラピィ学会会長
  • 第20回大阪府作業療法学会会長