
後藤彩さん×薬学部 青木俊二先生

青木先生 藤澤先生は、外来化学治療室(*注)でがん専門薬剤師として活躍されておられますが、普通の薬剤師と専門薬剤師の違いは何ですか?
藤澤先生 本人はいたって変わらないと思っているのですが、周りの目は違いますよね。より高度なことを知っているだろうという期待や、それに対する責任がズシっとのしかかってきますね。あと、がん専門薬剤師の責務の一つに、できるだけ多くの化学療法に精通する薬剤師を育てるということがありますね。
熊井 私「専門」という言葉がついたら、それだけで高度な知識を持っているんだろうなって思ってしまいます。
後藤 より高度なことを知っていて当然と思われていると、毎日が緊張してしまいそうですね。がんの治療で大変なことはどんなことですか?
藤澤先生 患者さんの全身状態を必ず把握していないとダメですよね。他に服薬している薬も含めて、患者さんの全身状態にそのお薬が本当に合っているかどうかチェックすることも必要です。それと、がんの患者さんは心も病んでらっしゃるんですね。それも、がんの進行度によって全く異なります。そういったことをしっかりと認識していないと、コミュニケーションは上手くいきませんね。さらに、お医者さんともしっかり治療方針を話し合って、看護師さんからは患者さんの背景を聞いて、そういう情報を全部集めて把握していないと上手にお話はできないですね。そのようなところが難しいなと思いますね。
後藤 お医者さんや看護師さんとも話し合って治療方針を決めるのは、すごいですね。
熊井 うん。リアルにチーム医療ですね。でも、薬剤師ってもともと患者さんとコミュニケーションを取る機会が少ないと思っていたんですけど、薬の処方以外にもコミュニケーションを取ることってあるんですか?

藤澤先生 外来化学治療室は、薬の調整だけでなく扉を開けたらもうそこには患者さんがいる治療室なので、自分たちがお薬の説明はもちろん、患者さんの治療をサポートできるということも説明しています。常に「何でも言ってください」とか、「聞きます」という姿勢を取っておくのが外来では主流なので、呼ばれたらすぐに行ける、薬剤師がいつも側にいるというスタンスをとってやっています。
熊井 へぇ~。そんなにも患者さんと関わる機会が多いとは思ってもみませんでした。話を聞いていたら、ますますチーム医療とコミュニケーションが大事なんだな、知識だけじゃダメなんだなって思います。
藤澤先生 チーム医療はとっても大事ですね。お薬の使い方でも、医師にこのお薬の方がいいんじゃないかとか、この患者さんにはもうこの治療は厳しいんじゃないかという話はしますし、医師もそれに対してきちんと耳を傾けてくれます。でも、知識もとっても大事なんですよ。がんの患者さんは、がんだけじゃなくて様々な合併症をお持ちなので、いろんなお薬を飲んでおられるんです。だから、お薬の相互作用も考えなくちゃいけないし、もし治療中に患者さんの容態が悪くなってしまった時、それは抗がん剤の副作用の症状なのか、それとも他の疾患の症状なのかっていう見極めもできなくてはいけない。薬剤師は、薬全般についての知識が求められているんです。
熊井 がん専門の薬剤師だけど、抗がん剤のことだけでなくて、薬全般の知識が必要って大変!!
後藤 うん。大変!!責任重大ですね。
藤澤先生 そうね。薬を扱っている時は常に薬の向こうに患者さんがいて、患者さんと接している時は、常に頭の中に薬のことがあるんです。薬剤師は、何か患者さんに起こっていることの原因が薬のせいではないかなと考えるところが看護師さんとは違うところですね。もちろん、看護師さんも副作用をチェックされています。でも、薬剤師は薬の副作用を医薬品情報として把握していますし、実際の治療の現場でも統計的に見て、どうもこのお薬にはこういうことがあるように思うということを医師に伝えているんです。

熊井 体調が悪くなると、病気のせいと思うのが普通なのに、薬のせいかなって思うのはすごい。
後藤 薬剤師さんに対する見方が変わりました。何気ない会話の中で薬の副作用のことなど考えておられてすごいなと思います。すごいなだけじゃなくて、私もそうしていかなくてはと思います。
青木先生 今日はすごく勉強になったね。さっき、外来治療室も見学したけど、部屋の印象はどうだったかな?
後藤 あの部屋はとても明るいですよね。がんというと、とても深刻なイメージだったので意外でした。
熊井 すごくたくさんのイスやベッドが並んでてビックリしました。がん治療の外来なのに、こんなに人が来るんだって思いました。
藤澤先生 多い時は、あのイスやベッドが全部埋まる時もあるんですよ。
熊井・後藤 え~!!
青木先生 じゃ、藤澤先生の印象は?
熊井 ぱっと見は看護師さんみたいな雰囲気ですよね。薬剤師さんというので、堅そうなイメージがあって緊張していたんですけど、すごく話しやすくて良かったです。
後藤 私もすごく優しい先生だなと思いました。優しいだけじゃなくて、すごくしっかりしていて、患者さんの不安を取り去ることのできる先生なんだなと思いました。患者さんと信頼関係を築けそうな経験豊かな先生っていう印象です。
藤澤先生 ありがとう。
青木先生 じゃ将来、藤澤先生みたいな専門薬剤師になるためには、これからどうしていけば良いと思う?

後藤 コミュニケーションと知識の勉強のバランスが大事。
どっちが大事とは言えない。日々細かいことに気づいていける薬剤師になりたいです。そのために、日ごろから相手の心を読み取れるように聞き出す会話力を身につけたいと思います。勉強もただ暗記するのではなく、根本的に理解していけるように頑張ります。
熊井 知識は、当然ちゃんと勉強しなくちゃと思うんですけど、コミュニケーション能力もとても大切なので普段から気をつけておかないといけないのかなって。短時間で相手の症状を聞いて判断して、相手の信頼を勝ち得ないと詳しい症状を話してもらえないことも知ったので、初対面の人でも緊張せず、リラックスして話せるようになれれば良いなと思います。
藤澤先生 ・青木先生 これからもがんばってね。


















