薬学部 医療薬学科 田中 明人教授の
「薬を作り出す仕事、創薬化学」への取り組み
「薬を作り出す仕事、創薬化学」への取り組み
「薬を創り出す仕事、創薬化学とはような事ですか?
合成実験室風景
遺伝子操作実験室風景
教授はどのようにして、創薬に興味をもたれたのですか?
生化学実験室風景
創薬に取り組まれて良かったと思えたことを教えてください。
修士課程修了後に藤沢薬品工業の研究所に1985年に入社しましたが、当時の創薬化学はまだ各合成担当者の「経験とカン」が中心で、私のように計算機を使って薬をデザインすることはあまり行なわれていませんでした。しかし、当時の研究トップが、このまま「経験とカン」頼りでは規模の大きい海外企業と勝負できないと判断し、積極的にSBDD(Structure based Drug Design、分子構造に基づいた薬のデザイン)と今では呼ばれる私の手法に協力してもらいました。しかし、一方で計算だけしか経験の無い私には「机上の空論だけでは創薬は無理なので、まず合成を学びなさい」との厳命の元、合成を一から叩き込まれました。2年間ほど厳しい修行をなんとかくぐりぬけた頃(今ならきっと”苛め”と呼ばれる修行が許された時代)、幸運なことに私が合成した化合物が社内の厳しい評価をパスし臨床開発候補に選択され(FR122047、血小板凝集阻害剤、現在選択的COX1阻害の試薬として販売されています)、チームを任されるようになりました。そして、その後実際にコンピュータを用いデザインした化合物(FK633)を創出することが出来ました。FK633は最終的には薬にはなりませんでしたが、臨床試験の中で何人かの患者さんから”このFK633を服薬したお陰で病気が改善した”、と言う言葉を頂いたという話を関係者から聞いたときには、本当に涙が出そうなくらいうれしく充実した気持ちになったことを今でも覚えております。
ところで、皆さんはシード化合物(原型の薬物:左側)のどこに注目し新しい薬物FK633(右側)をデザインしたか想像つきますか?
ところで、皆さんはシード化合物(原型の薬物:左側)のどこに注目し新しい薬物FK633(右側)をデザインしたか想像つきますか?
SBDDを用い論理的にデザインされたFK633
アフィニティ樹脂を用いたターゲット探索研究
薬剤師を目指す学生へのメッセージをお願いします。
リノール酸をシード化合物としてSBDDを用い
デザインされたDCP-LA(兵庫医科大学との共同研究)
デザインされたDCP-LA(兵庫医科大学との共同研究)
田中明人 教授のプロフィール
- 昭和58年3月 大阪大学薬学部製薬化学科卒業
- 昭和60年3月 大阪大学大学院薬学研究科修士課程薬品化学専攻修了
- 同年4月 藤沢薬品工業(現アステラス製薬)入社 中央研究所化学研究
- 平成4年3月 米国ハーバード大 S.L.Schreiber研究室留学
- 平成14年1月 (株)リバース・プロテオミクス研究所 化学部門長
- 平成18年4月 アステラス製薬 主席研究員
- 第二種情報処理技術者(昭和57年3月)
- 薬剤師免許取得(昭和58年9月)
- 薬学博士(平成7年4月、大阪大学)
- 専門:創薬化学(特に理論的ドラッグデザイン、コンビナトリアル化学)、ゲノム創薬(特にChemical genetics)、生物有機化学、分子生物学、量子化学、情報科学
- 趣味:研究(好きでやっています)、読書、博物館めぐり、散歩、寝ること。
















