薬学部医療薬学科の青木教授が、海に潜ってクスリを探す。
-医薬シーズ化合物を自然界に求めて-
-医薬シーズ化合物を自然界に求めて-
「海に潜ってクスリを探す」とはあまり想像出来ないのですが、どういうことなのでしょう?
海中での採集風景。ちなみに、モデルはご自身だそうです。1回のダイビングで約1時間潜るそうです。
青木教授が研究対象にしている海洋生物。左が「海綿」、右が「ホヤ」。
色も形も様々で、数千種もの種類があるそうです。
色も形も様々で、数千種もの種類があるそうです。
青木教授は、なぜ自然界から“クスリ”を探そうと考えたのですか?
子供の頃から、からだの仕組みやクスリが何で効くんだろうという興味はすごくありました。幼い頃は、山や池でムシやカエルを捕まえてきて解剖(分解?!)もよくしていましたし、飼い犬のご飯にこっそりワインを少量入れて「ほろ酔い犬」にしてしまったこともありましたね(笑)(動物愛護の観点から反省!)。その頃はもちろん意識していませんでしたが、今にして思えば子供の頃から好奇心旺盛で、また、自然に慣れ親しんだことが、今の研究に結びついてるのかも知れません。また、これも子供の頃の話ですが、私はひどい喘息(ぜんそく)の発作持ちで、苦労をした経験があります。
発作を抑えるのが大変で、ひどいときにはステロイド剤のようなきつい薬でも効かないこともありました。そんな時に助けられたのが、漢方や鍼灸といった中国医学の力でした。漢方薬には、いまでもお世話になっています。(西洋医学の医薬品が効かないと言っているのではないので、くれぐれも誤解のないようにお願いしますね。)こんな経験からか、大学も医学部か薬学部に行きたいと考える様になり、薬学部に進学しました。自然と研究室も「生薬学」の研究室を選んでいましたね。そこで生薬の作用や有効成分についての研究をする様になりました。それが発展して、現在の「海洋生物からクスリを探す」という研究につながっています。もちろん、現在は大学で教鞭をとる身ですから、俗に言う「天然成分は何でも身体に優しくて良い」的ないい加減な考え方にはまったく共感できませんが、研究すればするほど、「自然のチカラってすごいな」と感じることはあります。
青木教授が発見したがん多剤耐性克服物質agosterol Aの化学構造。現在、実験用の試薬として販売され、多くの研究者に使われているそうです。
具体的な研究内容について教えて下さい
船上での風景。機材をセットして、いざ海中へ。
ある年、採集で使った現地のボート。はじめて見たときは、あまりの小ささにショックを受けたとか。
薬学部医療薬学科を目指す学生さんへメッセージをお願いします。
みなさん =“IT世代”の人達は、大量の情報を簡単に手に入れることが出来ますが、それには良い面と悪い面の両方があると私は思います。情報(知識)は多いに越したことはありませんが、情報が一人歩きすることは大変危険です。すなわち、それが高じると、その情報があたかも自分の体験であるかのように感じてしまっているケースがあるということです。私のモットーは、「失敗を恐れず、何でも自分で実際にやってみる!」ということです。端から見ていればとても簡単に見えることが、やってみるとそうはいかない。(自転車に乗った経験がない人が、自転車に乗っている他人を見て難しそうと思うでしょうか?) 兵庫医療大学は、基本的に「臨床現場で活躍できる医療人」の育成を目指して設立された大学です。薬学部でも、当然そのような薬剤師の養成を目指しています。私のキャリアは、基礎研究が中心で臨床現場での経験はありませんが、基礎研究を続けていく中で本当に様々な体験をしてきました。(研究に関すること以外も含めて。)私は、是非ともその経験を皆さんに伝えていきたいと思っています。皆さんが、決して「バーチャルの海」に溺れず、実体験に支えられた確かな知識と技能を身につけ、そして心の通う人間関係を築ける薬剤師になるための教育を力及ばずながらできればいいなと思っています。「体験こそ、実力なり!」
朝日新聞 コラム波に連載されました。
記事のPDFを載せました。是非お読みください。
① 2008.6.2付 ② 2008.6.16付 ③ 2008.6.23付 ④ 2008.6.30付
青木俊二 教授のプロフィール
- 平成元年3月 京都薬科大学生物薬学科卒業
- 平成4年3月 京都薬科大学大学院修士課程修了
- 平成4年4月 大阪大学・大学院薬学研究科博士課程入学
- 平成5年4月 大阪大学・大学院薬学研究科・助手
- 平成15年1月 大阪大学・大学院薬学研究科・講師
- 専門は、天然物化学、生物有機化学、薬理学、分子生物学を含む天然薬物学全般
- 平成15年度日本生薬学会奨励賞受賞
- 趣味は、車(の運転)、テニス、ダイビング(仕事?)


















